エルサレムから帰った後に、アンマンのクリフホテルで見ました。本当は、そのとき、その感想を書こうと思ったのですが、先延ばしで本日となりました。
○作品のあらすじ ゲッセマネでイエスが逮捕されるところからはじまる。ユダはイエスを裏切ったことに後悔して首吊り自殺をする。イエスは総督ピラトによって磔刑をいいわたされる。ピラトの判決は大衆により決定されたもの。鞭打ちでは釘のようなものがついた鞭を下卑た笑いの執行人が行い、その場は血で赤く染まる。肉はそがれ息も絶え絶えのイエスは十字架を抱えるがごとくにもち、そしてひきずりゴルゴタに向かう。「悲しみの道」であるヴィア・ドロローサを歩む。そして、亡くなり、復活を遂げる。 よく知られた話です。 さて、映画自体はどうであったか? ラテン語、アラム語を基本線にしているため、ハリウッド映画は学んでほしい部分という受け止めでした。そして、血だらけのイエスは宗教の映画でなければ、ホラーにもなりかねないものでもあり、その拷問においては、一緒に見ていたサーメル(パレスチナ人、13回目の鑑賞)も目を覆うものということで、多くの人は気分の悪くなるものと思います。とってもグーです。 で、感動するかということですが、私には感動などありませんでした。残念ながら、私はイエスの存在自体に懐疑的な部分があることもそうですが、イエスはあくまでも、ユダヤ教徒であり、偶像崇拝をしてはいけない、神の名を読んではいけない、人を殺めてはいけないといった戒律の中で生きてきた人という記録になっているものと思いますが、現在のキリスト教は、確実に誤解をしているというのか、自分たちの解釈をもち、イエスの受難を盾にする部分の見える人も多々見えるため、信仰の確認映画にも見えないこともないのです。それらが、鼻をつくのは、きれい事が嫌うという人たちにとっては当然のことのように思います。 「ユダヤの王、ナザレのイエス(INRI)」 矛盾の中で誕生と死を迎え、誤った理解が故に彼の死後に授かったキリストという名が宗教名になったというのは、この映画から強く感じます。 友人は言います。 「ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教はいずれも神が同じ。」 全くそのとおりなのです。ただし、預言者であるムハンマドくらいが素性がしれていて、宗教よりも実践を重んじたハーン(隊商)出身の男であったことから、世界に宗教的な部分以外でも大きな影響を与えたことは間違いないと考えています。ルネサンスのきっかけはイスラームだったわけですから。では、キリスト教はどうであったかというと、拷問の文化と迫害の文化が、色濃いです。この時代にこの映画を持ってきたのは、言い訳とも映る気がするのですが、イエスは存在した、そして、受難を確認する映画となったとするのならば、きわめて哀しいことだと私は受け止めざるをえない。 なんにしろ、私は、この映画はあまり好きではない。 映画を見た日の前日にヴィア・ドロローサやオリーブ山を歩いた私としては、なんとも不思議と賛同する気分になれなかったのでした。 もちろん、よく出来た映画であることは確かです。ただ、あくまでも映画です。
by mir2004jp
| 2005-06-11 23:43
| Film
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