影をなくした男

海外を旅行する際には小説は持っていかない。
理由は、止まらなくなってしまうからだ。
しかし、今までに2回、本を持っていったことがある。
そのうちの一冊が『影をなくした男』だ。
シャミッソーの本はそのとき、初めて読んだのだが、非常に本自体は薄っぺらで、読みやすそうなものであった。
シベリア鉄道横断をする際には暇を弄ぶことになるということが予想できたからだった。
中身はどうであったか?
ペーターが影をなくすくだりから、なくしたことによる後悔に至りその後どうしたのかまでが描かれている。
一種の寓話として作られたドイツの小説なのだが、ヘッセのメルヒェンとかよりもずっと心に通じるものがある作品。
影がないことで、金や地位をもっていても皆に白い目で見られ、自分の居場所がないということに気が付く。愛する女性、親友の目の前から去り世界中を旅する。ジェームズ・バリのピーターとの符号を感じてしまうくだりだ。ペーター・シュレミールは最後にあるものを見つける。ピーター・パンもあることを悟る。
ピーター・パンよりも古いから、似せたわけではないのだろう。
私が、西に沈む日によって、影を失ったときに感じた喪失感は、それまでで一番大きなものだった。
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by mir2004jp | 2004-04-12 02:12 | Book
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